「人事は採用に始まり採用に終わる」
この言葉は、イオン岡田卓也名誉会長相談役の実姉であり、
ジャスコ(現イオングループ)の創業者の小嶋千鶴子さんの言葉です。
採用の現場では、とかく優秀な人材の採用に積極的ですが、優秀な人材が、
その企業で活躍するかどうかはわからないものです。
つまり、
優秀な人材=企業に必要な人材とは言えないことが、
採用の現場に長く携わっている方は強く実感されていると思います。
では、企業に必要な人材を採用するために何をする必要があるのか。
それは、その企業のビジョンやミッション、そして存在意義を明確にし、
それを採用の現場でもしっかりと明示していくことです。
例えば、東京電力を例にとった場合、東京電力の存在意義は、
国の電力供給インフラを開発維持することで、本来そういった
国を守るという意識の高い人が入るべき企業だと思います。
それが、いつの間にか将来わたって給料や身分が保証される
優良企業として位置づけられ、そして安定志向の人材が
入社することとなってしまったと思います。
その結果として、東日本大震災のときのような有事において、
的確な動きが出来なかったのではないかと思っています。
国のインフラを守ると言う意識をもっていた人は、
あの場面で本当に一心不乱に戦ったと思いますが、安定志向の人は、
どうやって自分の身を守るかを考え行動したと思います。
この事例からも、その企業の存在意義に共感する人材を採用することが、
その企業を発展もしくは危機的な環境のときもその企業を守ることになることが
わかると思います。
それぞれの企業の存在意義を明確にし、採用の時点からしっかりとその企業の
ビジョンやミッションを伝え、そして、それに心から共感する人を採用する。
そのことを繰り返していけば、その企業で働くことに、やりがいや働きがいを感じ、
自律的に企業の発展に寄与する社員が増えていくことは想像できると思います。
「人事は採用に始まり採用に終わる」
この機会に、皆様がお勤めの企業の存在意義を再度確認してみてはいかがでしょうか。
投稿日時: 2014年5月9日 3:40 PM トラックバックURL