とある雑誌で心理学者による興味深い寄稿文をみつけた。
そこには、全能感※を捨てられずに大人になった人は、社会性が低く、例えば、エリート官僚が信じられないような幼稚な事件を起こすのも、この全能感が影響しているというのだ。
(※「全能感」とは、自分は何でも出来るという感覚)
そして、全能感を捨てられない大人が多い理由は、日本の学校教育における、「子供にはあらゆる可能性がある」ことを前提とした教育にある、というのだ。
心理学的にも、人が社会性を獲得するためには、自分には出来ないことがあることを認識する、つまり全能感を捨てることが大事なステップであると言われている。
自分に出来ないことがあることを認識するから、他人の大事さがわかり、社会と繋がる必要性が生じ、社会性の獲得に積極的になる。
確かに、私の周りにも社会性の獲得に苦労をしている人が結構いるのですが、この全能感とは深い関係があると改めて気づいた。
人に頼むのが苦手で、どんなことでも一人でやろうとする人は、特にこの全能感が強いと思われる。
もちろん、どんな子供にも無限大の可能性はある。
ただし、その可能性は何でもできるオールマイティーな大人になるということでなく、その子供ならではの強みや興味を引き出していくことで見いだされていくもの。
自分の強みを認識するには、自分の弱みや出来ないことも認識する必要もあるのだ。
各々が自分の強みを活かしあう社会をつくるためにも、それぞれが全能感を捨てる必要がある。
子供のころから、自分の弱みと強みを認識できる機会が多くなると自然とそういう社会になるのだろう。
そして、今回の新型コロナウィルス感染症の広がりは、人類がもっている全能感に対する警告なのかもしれない。
投稿日時: 2020年4月15日 4:02 PM トラックバックURL