「個の力と組織の力」
ワールドカップで日本は1勝も出来ずに予選で敗退してしまい、
残念に思っている方も多いことでしょう。
香川や本田、長友など世界の名門クラブで活躍する選手が
増えたこともあり期待値は大きかったのですが、それぞれの国の
威信をかけた戦いの中で、特にあらわになったのは、個の力の差、
特にメンタリティーの差だったように思います。
これまでの日本は組織力が売りでした。
その組織力で世界を驚かせたのは、1989年のラグビー日本代表。
この年に、世界では弱小チームと思われていた日本代表が、
なんと世界的な強豪のスコットランドを破ったのです。
1989年はバブル真っ盛りで、日本の会社が組織力をもって
世界に幅を利かせている時期であり、ラグビーでも組織力で勝てるのだと、
さらに日本人が自信を深める、そんなエピソードになったようです。
その当時のラグビー日本代表の監督が、今は亡き宿澤広朗さん。
宿澤さんは、二束のわらじを履く銀行員として、
「シクラメンの花」などの作詞作曲で一躍有名になった
小椋佳さんと並ぶ著名人なので、ご存知の方も多いと思います。
宿澤さんは、前出の事例も含めて、日本のラグビー業界で
重鎮中の重鎮であっただけでなく、勤務していた
三井住友銀行(旧住友銀行)でも、取締役専務執行役員にまで
上り詰めた、サラリーマンとしても大成功を収めた方です。
そして、何を隠そう、私が銀行をやめるときの
所属部門の部門長だったのが宿澤さんだったのです。
宿澤さんと一緒に働ける機会があったことは、私にとっても
幸せなことだったと今も思っています。飾らないお人柄や
部下のことを思いやること、決断力などリーダーとしての
資質を目の当たりにし、学ぶことは多かったです。
ただ、そんな心より尊敬する宿澤さんが何度も止めて
くださったにもかかわらず、私は銀行を飛び出してしまいました。
もちろん、銀行を飛び出したことについて、私はまったく
後悔をしてないのですが、いつか宿澤さんには感謝の気持ちを
伝えようと思っていたにもかかわらず、2006年に
お亡くなりになってしまい、その気持ちが伝えられてないことは
心残りになっています。
私が銀行をやめたときの志は、今もかわっていません。
一人一人の心の変容を促し、それぞれが自立して働くことが
できるようになるための教育の場をつくっていくこと、
つまり個を自立させ強くしていくことです。
やはり、これからは個の時代。
どのスポーツをみても、個が強くなければ、
いくら組織力があっても勝てない時代となっています。
しかし、世界の強豪をみていても、スーパーな選手を
集めるだけでも勝つことは出来ず、スーパーな選手を集めてかつ、
スーパーな組織力を生み出せる監督やコーチの存在も
欠かせなくなっていると思います。
つまり、個を強くするとともに、強い個が上手く調和する
組織作りも同時に求められているのです。現在、世界の
強豪サッカークラブをみていても、強い個を集めることと、
その個が調和する強い組織の双方を生み出すことが
とても難しいことは、世界一になるチームが年々
入れ替わっていることをみてもわかると思います。
私は、もともと強い組織力をもつ日本人が、
個も強くすることができれば、きっと世界をも凌駕するような
チームや会社をたくさん生み出すことができると信じています。
いつの日か天国で宿澤さんと出会えたときに、
「日本は個も強くなりましたよ!」
って、胸を張って言えるよう、日々がんばっていきたいと思っています。
投稿日時: 2014年7月15日 2:32 PM トラックバックURL