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田中の部屋
さようなら虚構の世界(リーマンショックから学べきこと)

ここ数週間、米国発の金融不安で世界が揺れている。

私もかつては金融マンとして金融マーケットに直接かかわっていたこともあり他人事とは思えず事態のゆくえを注意深く見守っている。

私が本格的に金融マーケットにかかわるようになったのは、MBA留学後の1998年。金融に詳しい人はご存じだと思うが、この年に長銀・日債銀の破綻が起こっている。当時まで、まさか大手の金融機関が破綻に追い込まれるなんて想像もしていなかったので、それらの破綻のニュースに心の底から驚いたことを思い出した。

この長銀や日債銀の破綻に先駆けて世界中を驚かした破綻が、米国のLTCM社の破たんだった。LTCM社は、経営陣に金融マーケット関連者なら誰でも知っているオプションの理論であるブラックショールズ方程式を完成させたショールズさんも参画しているということもあり、世界中の金融機関から巨額の資金を集める巨大ファンドとなっていた。LTCM社がやっていたことは、オプション理論(想定外のことは起こらないという前提)を信じてリスクの高い新興国の債券を買い続けるということ。

しかし、タイバーツや韓国ウォンの想定外の下落、ロシア財政危機などにより、損失が拡大、破綻を余儀なくされてしまった。当時まさにLTCM社の信じていたオプション理論としては想定外のことが起こってしまい、巨額の損失を計上することとなってしまったのだ。

皆さんお気づきのとおり、当時の経緯と、今回のサブプライム問題にいたる経緯は、かなり似通っているといえる。

本当はリスクがかなり高い低所得者向けの住宅ローンを、デリバティブ(金融工学を駆使した金融手法)を組み合わせた金融商品とすることにより、あたかもリスクは少ないように感じてしまった投資家が巨額の資金で購入し、そのリターンを得ようとした。しかし、もともとがリスクの高いものだったので、今回のような巨額の損失となってしまった。


人間やっぱり、なるべく楽をして儲けたいと思うってしまうものである。

特に頭の良い連中は、デリバティブを駆使して、本当のリスクをうまくオブラートに包み、あたかもリスクはないけどかなり儲かるように見える商品に仕上げるのがうまかった。リスクは少なく感じて、かつ大もうけできるものであれば、投資家は飛びつくはずである。

しかし、忘れてはいけないことは、リスクとリターンは比例しているということ。

リスクが低く大儲けできるものなんて本当は世の中に存在しないのだ。そのことをちゃんと理解していれば、今回のような事件も起こらなかったんだと私は思う。

そろそろ虚構(幻想)の世界で楽をして大もうけをしよう、という邪な心は捨てて、まっとうに稼ぐということに気持ちを切り替えていく必要があると改めて思う。

汗水たらして、一生懸命働いて、その見返りとして報酬をもらえる。当り前のことを当たり前にやっている人が、結局は報われるんだろうな、と今回の事件をみながら思う。

虚構の世界よ、さようなら・・・・・・・





投稿日時: 2008年9月24日 12:26 AM トラックバックURL

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